蜂に刺されないために必要なことと、刺されてしまったときの対応

蜂は人間を刺す怖い昆虫ですが、害虫を餌としたり、植物の受粉にも大きな役割をはたす益虫の面も持っています。蜂に刺激を与えない限り人を刺すことは滅多にありませんので、必ず駆除しなければいけないわけではありません。蜂を避けて刺されないよう注意をすることが大切です。ここではそのための方法を説明します。また刺されてしまった時にどのようにすればよいかについても説明をします。

蜂に刺されないための注意

蜂駆除

危険だと思われているスズメバチやアシナガバチでも、巣や蜂自身が脅かされた時以外は、向こうから攻撃をしてくることはほとんどありません。飛んでいる蜂を見ただけで慌てたり怖がったりする必要はありません。
しかし蜂は防衛本能の強い昆虫ですので、攻撃された時は反撃をしてきます。ですから、攻撃だと蜂に疑われるような下記のようなことをすると、蜂に攻撃されてしまいます。

・必要以上に巣に接近しない

農作業や庭木の手入れの際に蜂の巣に知らず知らずの間に接近しすぎてしまい、蜂に刺されることがよくあります。このようなときは事前に蜂の巣がないか、よく確認するようにしてください。
蜂は様々な場所に巣を作ります。軒下や庭木などの高くて目につきやすい場所に巣を作るイメージがありますが、そのような場所だけではなく、人目につきにくい場所に巣を作ることもあります。天井裏、ベランダ、戸袋、床下などがよくありますが、排気用の煙突や、放棄してある生活用品、トラックの荷台、犬小屋、廃材などにも巣を作ることがあります。
蜂は1年生の昆虫で、蜂の巣は毎年新しく作られるのですが、蜂が好むような場所というのは同じですので、過去に蜂の巣ができた場所は今年も蜂の巣が出来ている可能性が高いです。過去に蜂の巣のあった場所には注意をするようにして、接近するときは気をつけるようにしましょう。

・巣をいたずらしない

蜂は蜂同士で殺し合うほど、自分たちの巣を守る本能のとても強い生き物です。敵に対しては、特別なフェロモンを撒き散らして仲間を呼び、集団で攻撃をしてきます。
子供だけではなく大人であっても、いたずら心や好奇心で蜂の巣を棒で突いたり叩き落とそうとすることがありますが、大変危険な行為ですので、止めるようにしてください。これはまさに蜂の巣に対する攻撃であり、蜂の反撃を誘発します。巣を叩き落として走って逃げても、人間よりも蜂の速度の方が速いです。蜂の飛行速度は時速20 km から時速30 km ぐらいで、スズメバチの場合は40キロを超える場合もあります。それに対し人間の走行速度は短距離のオリンピックの金メダルのレベルで時速45 km です。不整地の地面を走る人間が、空中を飛ぶ蜂に対して勝てるわけがなく、勝負になりません。

数は減少傾向にありますが、それでも毎年蜂に刺されて死亡する事件が起きています。もし蜂に遭遇したり巣が近くにある場合は、むやみに近づいたり手を出したりせず、静かに落ち着いて遠くへ離れましょう。

・飛んでいる蜂を手で追い払ったりしない

蜂は巣の近くで動くものに対して攻撃をしてきます。手で追い払うような仕草は蜂を刺激するので行ってはいけません。特にスズメバチは巣の近くで動く黒いものに対して、とても敏感です。アシナガバチやミツバチはスズメバチほど黒に対して敏感ではありませんが、巣の近くで動くものに対しては攻撃をしてきます。
蜂が黒などの濃い色に反応する理由は、天敵のクマの色が黒だからと言われています。逆に薄い色になるほど反応は少なくなります。蜂の駆除業者の着る防護服が白色なのはそのためです。黒い服や、髪の毛、黒い帽子や靴やカメラなどには注意が必要です。なお黒い色だけではなく濃い色に反応するので、赤や青の濃い色でも危険ですので、注意が必要です。
また動きと色だけではなく臭いに対しても敏感です。香料の中には蜂が興奮する成分が入っている場合があり、香水や匂いの強いシャンプーや整髪料などが危険です。

蜂に刺されないための予防と対処方法

蜂駆除

・車の中に蜂が入ってきた場合

車の運転中に蜂が車内に入ってくることがあります。その時に焦って手で払ったりすると、蜂を興奮させてしまいます。本能的に手で払ったり大声を出したりしてしまいそうになりますが、パニックに陥るとハンドル操作を誤り、思わぬ事故を起こしてしまうこともあります。
蜂が車内に入ってきても、こちらから何もしなければ、蜂に刺されることはありません。蜂が車内に入ってきた場合は、落ち着いてスピードを落とし、停車します。窓やドアを開け出て行くのを待ちます。

・家の中に蜂が入ってきた場合

家の中に蜂が飛び込んで来た時に、慌てて手で払ったり、ほうきなどで叩いたりすると、蜂を興奮させ、襲われてしまいます。
蜂は明るい方向に向かう習性がありますので、室内の電気を消して暗くし、窓や玄関などの蜂の出入り口を開放して出て行くのを待ちます。

・知らずに巣に近づいてしまった場合

蜂の巣には近づかないのが原則です。しかし知らない間に近づいてしまった場合は、手で払ったり大きな声を出したりせずに、静かにその場から離れましょう。
蜂は下方が見えにくいので、蜂の巣の近くから離れる時は、蜂の視界から外れるように姿勢を低くします。直角に曲がって蜂の視界から外れるようにするのも効果的です。

蜂に刺されてしまったら

蜂駆除

・まずは、慌てず、騒がず

蜂に刺されてしまったら、まずはその場からそっと離れてください。焦って手で振り払ったり走り回ると、 蜂が興奮して集中攻撃されることがあります。ミツバチの仲間は、いちど刺すと攻撃フェロモンである化学物質が撒き散らされ、周囲の蜂を刺激し、集中的に攻撃をしてきます。

・毒を搾り出しながら流水で洗う

蜂の毒は水に溶けるので、すぐに傷口から手で血と一緒に毒液を搾り出しながら、水でよく洗い流します。水で洗い流すことにより、毒を薄め、傷口を冷やし腫れや痛みをやわらげます。 毒を持つ動物に噛まれた時の対応として口で吸い出すというイメージがありますが、蜂の場合は毒が入るので口で吸い出さないでください。毒を吸い出す専門のポイズンリムーバーという器具が市販されていますので、巣のある場所に近づくなど、蜂に刺される危険性が予めわかっている場合は、これを持って行った方が良いでしょう。

・薬を塗る

抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗ります。その後保冷剤で冷やします。
なお俗説として、蜂に刺された時に尿をかけるというのがありますが、効果はありません。アンモニア水や尿をかけても、かえって腫れがひどくなることがあります。

・病院に行く

スズメバチに刺された場合は速やかに病院で治療を受けてください。ミツバチやアシナガバチでも体に異変があれば病院で治療を受けてください。
ひどく腫れる、蕁麻疹、めまい、吐き気、息苦しいなどの症状があったら30分以内に病院へ行きましょう。 特に過去に蜂に刺されたことがある場合は、アレルギー反応のショック症状を起こす危険性があります。これをアナフィラキシーショックといい、死につながることもありますので、速やかに病院で治療を受けてください。アナフィラキーショックでは、呼吸が苦しくなる、嘔吐、下痢、意識がなくなるなどのショック症状が生じます。
また一度にたくさんも蜂に刺された場合も速やかに医療機関を受診するようにしてください。